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中医養生講座7

「中医学の養生法」

 第7回成人病の予防その3・肥満

 肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症、脳梗塞など多くの病気の引き金ともなります。是非とも肥り過ぎは避けたいものです。

 食べる量を減らして、運動量を増やす、これが肥らない、そしてやせるための単純明快な方法なのですが、あまり食べないのに肥ってしまう人や、いくら食べても肥らない人もいます。肥満の場合も、その人のパターンにあった対策を講じなければなりません。

 それでは、中医学的に肥満を考えてみましょう。

 食べ物や水の代謝に主に関係する臓腑は「脾」です。西洋医学的な臓器の働きとは異なって、脾は、食べ物の栄養分を吸収して全身に運んだり、水分を運んだりします。この脾の機能が落ちると代謝がくるって、余分なものが体にどんどんたまってしまい、肥満を引き起こすことになるのです。

 さて、肥満は次の2つのタイプに大別することができます。

 1:気虚型

 イメージ的に言えば、色白で水太りのポッチャリ型で、脾の気が足りないために起こるタイプです。気は、臓腑の機能をうまく働かす原動力になりますが、脾の気が足りないので、水分の代謝がうまく行えず、体内に余分な水分がたまってしまいます。 また、気の働きの1つに、ギュッと締めるという作用がありますが、この働きが弱いために、体全体に締まりがなくポチャッとした感じになります。ひどくなれば実際に、むくみが現れます。舌を見ると、やはり締まりがなくむくんだ感じで、舌の縁にぎざぎざの歯形が付いていることもあります。

 全体的にも、このタイプは温める作用の陽も不足していますから、寒がりで、手足が冷えやすかったり、汗腺を締める作用が弱くて、あまり暑くもないのに汗をかきやすかったりします。

 また、活動の原動力が足りませんから、疲れやすかったり、すぐ横になりたがります。食物を吸収する作用も弱いですから、食欲もあまりありません。つまりあまり食べないのに太るタイプです。

   2:痰湿型

 イメージ的に言えば、赤ら顔で、脂肪太りのパンパン型で、飲食の不節制や、長期にわたる食べ過ぎ、または甘いもの、脂っこいものの偏食によって、脾の機能が損なわれて、代謝異常物の痰湿と呼ばれるもの(脂肪と考えてよいでしょう)が体中に運ばれて肥満が起こるタイプです。

  このタイプは、もともとの脾の機能は弱い方ではありませんから、食欲はあります。むしろ痰湿に熱が加わり、その熱でさらに食欲が増す場合もあります。

  好むものが、甘いものや脂っこいもので、いずれも温熱性の食物で、痰湿もさらに熱を生み、体は熱のタイプになっていますから、暑がりで胸や胃のあたりがつかえた感じがし、全身や手足が重だるく、舌の苔が黄色っぽく厚くネバネバしています。

対策

1:気虚型

 気虚型の人は、原動力不足ですから、もともと運動するのは不得意でしょうし、運動してもすぐ息切れしてしまうはずです。無理しないで、食べてやせましょう。

  基本的に、不足している気や陽を補ってくれる食物を多く取ります。4月号の表「食物の性」中の平や温、熱の性質の食物を多くとるようにします。特に、あわ、なつめ、なたまめ、えんどう豆、椎茸、かぼちゃ、にら、くるみ、茘枝、龍眼肉、鶏肉、蝦、なまこなどには気や陽を補う作用があります。

 やせようとして、寒や涼の果物や生野菜を多く食べてはいませんか?これらはますます脾や体を冷やしてしまい、脾の働きを損ない逆効果です。

 このタイプの人は、冷え性で体温も低く、基礎代謝量も低くなります。代謝を活発にすることにより余分なものを取り去り、やせることができるのです。必要なのは、代謝のための原動力である気や陽を補うことなのです。

2:痰湿型

  このタイプの人は、もともと体力はある方ですから、運動量を増やすことを考えましょう。

 また、寒熱のバランスが熱の方に傾いていますから、特に甘いものや脂っこいもの、酒などの温熱性のものを避け、平や寒、涼の性質の食物を取るようにします。寒熱のバランスを戻すことは、異常な食欲を落とすことにもつながります。このタイプの人こそ、果物や生野菜を多く食べるべきなのです。

 特に冬瓜は、「太りたい者は、食べるなかれ」と昔の医学書に書かれるほど、ダイエットに効果があります。また、菊花や桑葉は体を冷やし脂肪を落とす作用もあり、乾燥したものにお湯を注いでお茶代わりに飲むとよいでしょう。

3:減肥茶

 これは、寒熱の偏りも少なく、体内の余分な水分や脂肪を取る作用があり、どのタイプの肥満にも有効です。

材料:荷葉(蓮の葉)60g

   さんざし10g

    はと麦10g

   陳皮5g

作り方:材料すべてを細かく砕き粉状にして、魔法瓶に入れ、お湯を注いで、しばらく放置した後、お茶替わりに飲む。上記の分を1日で飲む。飲み終わったらお湯を加えてもよい。

効能:荷葉、サンザシは、脂肪をとり、はとむぎ、陳皮は、水分を取る。また、荷葉、サンザシには、肉類の消化を助ける作用もある。

 その他

  やせる気功というものもありますし、気功や太極拳はお薦めです。気虚型の体力のない人にも無理なくできます。痰湿型では、イライラしてついヤケ食いをしてしまう人も多いと思いますが、精神の安定という意味からも、気功や太極拳は有効です。

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